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危険物保安監督者の選任と定期点検の関係|誰が何を確認するか

運営・編集:危険物点検台帳編集部

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定期点検チェッカーで周期を確認する

結論から言うと

結論から言うと、危険物保安監督者の選任義務と定期点検の義務は、根拠条文も対象施設の判定基準も別物です。危険物保安監督者は消防法第13条に基づき「人」を選任する制度、定期点検は同法第14条の3の2に基づき「施設」を年1回以上点検・記録する制度で、対象施設の範囲を定める政令の条文も異なります。両方に該当する施設もあれば、片方だけ該当する施設もあるため、「保安監督者がいるから定期点検は不要」「定期点検の対象外だから保安監督者もいらない」と早合点すると、選任漏れ・点検漏れのどちらかを見落とすことになります。この記事では、危険物保安監督者の選任要件・職務と、定期点検の対象・周期の関係を、根拠条文とともに整理します。

危険物保安監督者と定期点検、それぞれ何を確認するものか

危険物保安監督者は、消防法第13条第1項により、政令で定める製造所・貯蔵所又は取扱所の所有者、管理者又は占有者が、甲種危険物取扱者又は乙種危険物取扱者(免状に記載された類に限る)で6か月以上の実務経験を有する者のうちから選任し、その者に危険物の取扱作業に関する保安の監督をさせなければならない、とされている「人」の制度です。選任したときは遅滞なく市町村長等に届け出る義務(同条第2項)もあります。

一方、定期点検は同法第14条の3の2に基づき、政令で定める製造所等の所有者、管理者又は占有者が、施設が技術上の基準に適合しているかを定期に自ら点検し、点検記録を作成・保存しなければならない「施設」の制度です。周期は危険物の規制に関する規則第62条の4により原則1年に1回以上、記録は同規則第62条の8第五号により3年間保存します。

両者は目的も対象施設の判定基準も異なるため、「自社の施設に保安監督者がいるかどうか」と「自社の施設が定期点検の対象かどうか」は別々に確認する必要があります。

保安監督者を選任しなければならない施設・資格要件(根拠条文つき)

選任対象施設は「除外リスト」で決まる

保安監督者の選任対象は、危険物の規制に関する政令第31条の2で「製造所等のうち、次に掲げるもの以外のもの」という形(原則すべて対象で、一部を除外する形)で定められています。除外されるのは、主に次のような、引火点40度以上の第四類危険物のみを扱う小規模・低リスクな施設です。

  • 屋内貯蔵所又は地下タンク貯蔵所で、指定数量の倍数が30以下のもの(引火点40度以上の第四類危険物のみ)
  • 屋内タンク貯蔵所又は簡易タンク貯蔵所(引火点40度以上の第四類危険物のみ)
  • 移動タンク貯蔵所(タンクローリー)
  • 指定数量の倍数が30以下の屋外貯蔵所
  • 第一種・第二種販売取扱所(引火点40度以上の第四類危険物のみ)
  • 指定数量の倍数が30以下の一般取扱所(引火点40度以上の第四類危険物のみで、ボイラー等の消費設備又は容器への詰替えを行うもの)

これらの除外項目に当てはまらない製造所等は、指定数量の倍数にかかわらず保安監督者の選任が必要です。特に注意したいのが移動タンク貯蔵所です。移動タンク貯蔵所は保安監督者の選任対象からは一律に除外される一方で、定期点検については危険物の規制に関する政令第8条の5第三号により指定数量の倍数を問わず対象になります。「保安監督者がいらない施設=点検もいらない施設」ではない典型例です。

資格要件と職務

保安監督者になれるのは、甲種危険物取扱者、又は乙種危険物取扱者(免状に記載された類の危険物に限る)で、製造所等における実務経験が6か月以上ある者です(消防法第13条第1項、危険物の規制に関する規則第48条の2)。丙種危険物取扱者は保安監督者になれません。

職務は同規則第48条に列挙されており、主なものは次のとおりです。

  1. 危険物の取扱作業が技術上の基準・予防規程等に適合するよう、作業者に必要な指示を与える
  2. 火災等の災害発生時に作業者を指揮して応急措置を講じ、直ちに消防機関等に連絡する
  3. 危険物施設保安員を置く施設ではその者に指示を、置かない施設では自ら保安員の業務を行う
  4. 隣接する施設の関係者との連絡を保つ
  5. その他、取扱作業の保安に関し必要な監督業務

定期点検の対象施設・周期との対比表

定期点検の対象施設は危険物の規制に関する政令第7条の3(指定数量の倍数による指定)と第8条の5(地下タンク・移動タンク等は倍数を問わず対象)で定められており、保安監督者の選任対象とは判定の起点が異なります。主な施設区分で比較すると次のとおりです(2026年時点の規定に基づく整理です。個別施設の該当・除外の判定は所轄の消防本部にご確認ください)。

施設区分保安監督者の選任定期点検の対象定期点検の周期
製造所原則必要(政令31条の2の除外項目に該当しない限り)倍数10以上、又は地下タンクを有する場合(政令7条の3第一号・8条の5第一号)1年に1回以上
屋内貯蔵所倍数30超(かつ引火点40度未満の危険物を含む等)で必要倍数150以上(政令7条の3第二号)1年に1回以上
屋外タンク貯蔵所原則必要倍数200以上(政令7条の3第三号)1年に1回以上(大規模なものは別途13年/15年ごとの内部点検あり)
地下タンク貯蔵所倍数30超(かつ引火点40度未満の危険物を含む等)で必要倍数を問わず対象(政令8条の5第二号)1年に1回以上+漏れの点検
移動タンク貯蔵所一律に選任対象外(政令31条の2第三号)倍数を問わず対象(政令8条の5第三号)1年に1回以上+漏れの点検(5年に1回)
給油取扱所(地下タンクあり)原則必要地下タンクを有する場合のみ対象(政令8条の5第四号)1年に1回以上+漏れの点検

漏れの点検の周期には、地下貯蔵タンク・地下埋設配管を有する施設で原則1年に1回(完成検査から15年以内、又は漏えいを覚知し拡散を防止する措置がある場合は3年に1回)、移動貯蔵タンクで5年に1回という区分があります(危険物の規制に関する規則第62条の5の2・第62条の5の4)。自社の施設が具体的にどの周期に当たるか、判定に迷う場合は定期点検チェッカーで施設区分を入力すると、対象・対象外と周期の切り分けが早くなります。

記録の保存年数を実際に計算してみると、管理すべき分量が具体的にイメージできます。例えば移動タンク貯蔵所の場合、漏れの点検は5年に1回、その点検記録は同規則第62条の8第四号により10年間保存しなければならないため、10÷5=2回分の点検記録を常に手元に保持し続ける計算になります。一方、通常の定期点検は1年に1回、記録は同条第五号により3年保存なので、3÷1=3回分(直近3回分)の記録を保持していれば足ります。周期と保存年数の組み合わせが施設・点検種別ごとに異なるため、「何年分の記録を残せばよいか」も個別に確認しておく必要があります。

自社で確認・対応する手順

  1. 施設ごとに、保安監督者の選任要否と定期点検の対象要否を別々に確認する。政令31条の2(保安監督者)と政令7条の3・8条の5(定期点検)は判定基準が異なるため、片方の結論をもう片方に流用しない。
  2. 選任対象であれば、資格要件(甲種又は乙種+実務経験6か月以上)を満たす者を選任し、遅滞なく市町村長等へ届け出る(消防法第13条第1項・第2項)。
  3. 定期点検の対象であれば、施設区分ごとの周期(原則1年に1回、漏れの点検は施設により1年・3年・5年)を確認し、実施日と次回期限を管理する
  4. 点検記録を規則が定める期間(原則3年、移動貯蔵タンクの漏れの点検記録は10年)保存する危険物の規制に関する規則第62条の8)。
  5. 保安監督者には、定期点検を含む取扱作業全般の保安監督業務(規則48条各号)を実際に行わせる。選任の届出だけで終わらせない。

保安監督者の選任状況と、施設ごとの定期点検の実施日・次回期限をあわせて管理しようとすると、台帳やExcelでは更新漏れが起きやすくなります。定期点検チェッカーで施設ごとの周期・対象要否を確認したうえで、14日間の無料トライアル(クレジットカード不要)を使えば、複数施設の期限をクラウド上で一元管理することもできます。

注意点・誤解しやすいポイント

  • 「保安監督者がいる=定期点検は不要」ではない。前述のとおり、両者は別の政令条文で判定されるまったく別の制度です。特に移動タンク貯蔵所は、保安監督者の選任対象からは外れる一方、定期点検(漏れの点検を含む)の対象にはなります。
  • 保安監督者の未選任と、点検記録の不備は罰則の条文が異なる。保安監督者を定めずに事業を行った場合は消防法第42条第1項第六号(6か月以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金)、点検記録を作成せず・虚偽作成し・保存しなかった場合は同法第44条第五号(30万円以下の罰金又は拘留)が対象で、金額も対象行為も異なります。
  • 丙種危険物取扱者は保安監督者になれない。甲種又は乙種(免状記載の類に限る)で、かつ製造所等における実務経験が6か月以上必要です(規則48条の2)。他業種での類似経験は算入されません。
  • 保安監督者の選任と、危険物取扱者の立会いを混同しない。危険物取扱者以外の者が危険物を取り扱う際に甲種・乙種の立会いが必要という規定(消防法第13条第3項)は、保安監督者の選任義務(同条第1項)とは別の規定です。
  • 定期点検の対象や点検事項の詳細、保安監督者の選任要否の最終判断は、所轄の消防本部にご確認ください。

まとめ

  • 危険物保安監督者の選任(消防法13条)と定期点検(同法14条の3の2)は、根拠条文・対象施設の判定基準が異なる別制度である。
  • 保安監督者の選任対象は政令31条の2の除外リストに当てはまらない施設、定期点検の対象は政令7条の3・8条の5に列挙された施設で、判定は個別に行う必要がある。
  • 移動タンク貯蔵所は保安監督者の選任対象外である一方、定期点検(漏れの点検を含む)の対象になる代表例。
  • 保安監督者になれるのは甲種又は乙種危険物取扱者(免状記載の類に限る)で実務経験6か月以上の者に限られ、丙種は選任できない。
  • 選任漏れ・点検記録の不備はそれぞれ罰則の条文・金額が異なるため、自社施設について両方を個別に確認・記録しておくことが実務上のリスク回避になる。

よくある質問

Q. 危険物保安監督者を選任していれば、定期点検は不要になりますか。

いいえ、なりません。保安監督者の選任(消防法第13条・政令第31条の2が定める施設が対象)と定期点検(同法第14条の3の2・政令第7条の3、第8条の5が定める施設が対象)は根拠条文も対象施設の判定基準も異なる別の制度です。保安監督者がいても、施設が定期点検の対象であれば点検・記録の義務は別途生じます。

Q. 移動タンク貯蔵所(タンクローリー)には保安監督者は不要ですか。

はい、移動タンク貯蔵所は危険物の規制に関する政令第31条の2第三号により、保安監督者の選任対象から一律に除外されています。ただし定期点検については同政令第8条の5第三号により、指定数量の倍数を問わず対象になり、移動貯蔵タンクの漏れの点検(5年に1回、記録10年保存)も別途必要です。

Q. 丙種危険物取扱者は保安監督者になれますか。

なれません。消防法第13条第1項は、保安監督者を「甲種危険物取扱者又は乙種危険物取扱者で、6か月以上危険物取扱いの実務経験を有するもの」のうちから定めると規定しており、丙種危険物取扱者は含まれません。乙種の場合は、免状に記載された類の危険物に限って保安監督業務を行えます。

Q. 保安監督者を選任しないとどのような罰則がありますか。

消防法第13条第1項の規定に違反して危険物保安監督者を定めずに事業を行った場合、同法第42条第1項第六号により6か月以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金の対象となります。なお、これとは別に、点検記録を作成せず・虚偽作成し・保存しなかった場合は同法第44条第五号(30万円以下の罰金又は拘留)が適用されるため、両者を混同しないよう注意が必要です。

Q. 保安監督者の実務経験6か月は、他社での経験でもよいですか。

危険物の規制に関する規則第48条の2により、消防法第13条第1項に規定する実務経験は「製造所等における実務経験」に限られます。危険物を扱う製造所等での実務経験であれば、勤務先が変わっていても通算できるのが一般的な扱いですが、算入できる経験の具体的な範囲や証明方法は、所轄の消防本部にご確認ください。

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危険物点検台帳は、実施した点検の記録を施設ごとに紐づけて保存し、定期点検と漏れの点検の 次回期限をそれぞれ別に追跡します。期限が近い施設のお知らせと、規則62条の8の保存に沿った 記録の出力まで1つの台帳にまとまります。

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