点検の実施者

危険物施設の定期点検は誰が行う?危険物取扱者・保安員・委託

運営・編集:危険物点検台帳編集部

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定期点検チェッカーで周期を確認する

「うちの点検、誰にやらせればいいのか」がわからないまま先送りにしていないか

危険物施設の定期点検が必要なことは知っていても、「実際に誰が点検してよいのか」「資格がないと違反になるのか」「業者に丸投げしていいのか」は、意外と整理されないまま運用されているケースが少なくありません。この記事では、消防法・危険物の規制に関する規則の根拠条文に基づいて、定期点検を実施できる人の要件、危険物取扱者・危険物施設保安員・外部委託それぞれの位置づけを整理し、自社で確認すべき手順を具体的に示します。

結論:点検の実施者は限定されるが、危険物取扱者以外でも「立会い」があれば実施できる

結論から言うと、定期点検を実施できるのは、①危険物取扱者、②危険物施設保安員、③危険物取扱者の立会いを受けた「点検の方法に関する知識及び技能を有する者」のいずれかです(危険物の規制に関する規則第62条の6)。つまり、危険物取扱者本人でなくても、危険物取扱者の立会いのもとであれば、専門業者のスタッフなど資格を持たない人が実際の点検作業を行うこと自体は認められています。

外部業者への委託も広く行われている実務ですが、その場合も「誰が点検を行い、誰が立会ったか」を記録に残す必要があります。委託したからといって事業者側の関与がゼロでよいわけではない、という点が実務上のポイントです。定期点検の対象や実施者の要件の詳細は、所轄の消防本部にご確認ください。

詳細説明:実施者の要件と、施設区分ごとの点検周期

誰が点検してよいか(規則62条の6)

危険物の規制に関する規則第62条の6は、定期点検を行う者について、危険物取扱者(甲種・乙種・丙種)、危険物施設保安員、又は危険物取扱者の立会いを受けた者であって「点検の方法に関する知識及び技能を有する者」でなければならないと定めています。

ここでいう「知識及び技能を有する者」の代表例が、一般財団法人全国危険物安全協会が実施する「地下タンク等・移動貯蔵タンク定期点検技術者講習」の修了者です。地下タンクの漏れの点検(規則62条の5の2・62条の5の3)は、タンクの構造・腐食の仕組み・専用の測定器具の扱いなど専門知識を要するため、この講習を修了した技術者が実務上の点検を担うケースが多くなっています。

なお、危険物取扱者の資格には甲種・乙種・丙種の区分がありますが、丙種危険物取扱者は危険物取扱い作業そのものへの立会いはできない一方、定期点検の立会いは可能とされています。この違いを混同している現場も見られるため、注意が必要です。

危険物施設保安員とは何か

危険物施設保安員は、危険物取扱者とは別の制度で、危険物保安監督者の指示のもとで施設の構造・設備に関する保安業務(定期点検・臨時点検の実施と記録、設備の異常時の報告など)を行う担当者です。危険物取扱者の資格がなくても選任でき、危険物施設保安員自身が定期点検を実施することも規則62条の6で認められています。自社の施設で危険物施設保安員を選任しているかどうかは、消防法令に基づく届出内容を確認するとわかります。

施設区分・点検種別による周期の違い

誰が点検するかとは別に、「いつまでに、何を点検するか」も施設区分によって異なります。2026年時点の規定を整理すると次のとおりです。

点検の種類対象周期記録の保存年数根拠条文
定期点検政令8条の5が指定する施設1年に1回以上3年間規則62条の4・62条の8第五号
漏れの点検(地下タンク・地下埋設配管)地下タンクを有する施設原則1年に1回3年間規則62条の5の2・62条の8第二号
漏れの点検(同上・周期延長要件を満たす場合)完成検査から15年以内、又は漏えいを覚知し拡散を防止する措置がある場合3年に1回3年間規則62条の5の2・62条の5の3・62条の8第三号
漏れの点検(移動貯蔵タンク)移動タンク貯蔵所(タンクローリー)5年に1回10年間規則62条の5の4・62条の8第四号

対象施設そのものは、指定数量の倍数が政令7条の3の基準(製造所・一般取扱所は10以上、屋内貯蔵所は150以上、屋外タンク貯蔵所は200以上、屋外貯蔵所は100以上)を満たす施設に加え、地下タンクを有する施設・移動タンク貯蔵所は指定数量の倍数を問わず対象になります(政令8条の5)。「誰が点検するか」の前提として、まず自社の施設が対象かどうかを確認しておく必要があります。自社の施設が定期点検の対象にあたるか、周期・記録保存年数を確認したい方は、定期点検チェックツールで施設区分を選ぶと該当する要件を確認できます。

数字で確認する:委託先が変わっても、記録は「実施者名」で連続性を追える

定期点検は年1回、記録は3年保存なので、保存年数(3年)÷周期(1年)=直近3回分の記録を常に保持している状態が本来の姿です。この3回分の記録それぞれに「点検を行った者」(危険物取扱者の氏名、又は立会った危険物取扱者と実際に点検した者の氏名)を記載する必要があるため、3年間で委託業者を変更した場合でも、記録上は「いつ・誰が・どの方法で」点検したかを連続して追える状態にしておくことが求められます。

移動貯蔵タンクの漏れの点検は、記録保存年数が10年、周期が5年なので、10年÷5年=直近2回分の記録を保持していれば足りますが、1回あたりの記録を長期間保存する必要があるため、委託先の変更や担当者の異動があっても、過去の実施者情報が追跡できる形で記録を残しておくことがより重要になります。

自社で確認・対応する手順

  1. 自社の施設が定期点検の対象かを確認する:指定数量の倍数、地下タンク・移動タンクの有無を許可証・完成検査済証で確認します(政令8条の5)。
  2. 誰が点検を行っているか(行う予定か)を確認する:社内に危険物取扱者・危険物施設保安員がいるか、いない場合は誰が立会うのかを整理します。
  3. 外部委託の場合は契約・記録の役割分担を明確にする:委託先の作業者が資格者でない場合、立会う危険物取扱者を誰にするか(自社側か、委託先が用意するか)を事前に取り決めます。
  4. 点検記録に実施者・立会者を正確に記載する:点検年月日・点検方法・結果に加えて、点検を行った者(及び立会った危険物取扱者)の氏名を記録に残します。
  5. 次回期限と担当体制を一覧化し、継続的に管理する:施設ごとの次回期限に加え、次回も同じ体制(社内実施か委託か)で対応できるかをあらかじめ確認しておきます。

複数施設を抱えていて、点検の実施記録・担当者情報を紙やExcelで個別管理しきれていない場合は、14日間の無料トライアル(クレジットカード不要)で記録と期限をクラウド上で一元管理する方法も選択肢になります。

注意点・誤解しやすいポイント

  • 「業者に委託したから自社は何もしなくていい」という誤解:委託先の作業者が危険物取扱者でない場合、誰が立会ったかを含めて記録する必要があり、事業者側の関与や記録確認の責任は残ります。
  • 丙種危険物取扱者の役割の誤解:丙種危険物取扱者は危険物の取扱い作業そのものへの立会いはできませんが、定期点検の立会いは可能です。この違いを取り違えている現場も見られます。
  • 定期点検と保安検査の混同:一定規模以上の屋外タンク貯蔵所には市町村長等が行う「保安検査」(消防法第14条の3)が別途課されており、事業者自身が行う定期点検(自主点検)とは実施主体が異なります。
  • 漏れの点検は「誰でもできる」わけではない:地下タンクの漏れの点検は専用の測定器具・専門知識を要するため、実務上は地下タンク等定期点検技術者講習の修了者などが担当することが一般的です。定期点検の対象や点検事項の詳細は、所轄の消防本部にご確認ください。

まとめ

  • 定期点検を実施できるのは、危険物取扱者、危険物施設保安員、又は危険物取扱者の立会いを受けた知識・技能を有する者のいずれか(規則62条の6)
  • 危険物取扱者本人でなくても、立会いがあれば外部業者のスタッフなどが実際の点検作業を行うことは可能
  • 危険物施設保安員は危険物取扱者とは別の制度で、資格がなくても選任でき、自ら点検を実施できる
  • 外部委託でも、点検記録には実施者・立会者の氏名を正確に記載する必要があり、事業者側の管理責任は残る
  • 点検周期・記録保存年数は施設区分・点検種別(定期点検/漏れの点検)ごとに異なるため、実施者の体制とあわせて確認しておく

自社の施設が定期点検の対象かどうか、次回の点検期限がいつかをまず確認したい場合は、定期点検チェックツールから施設区分を選んで点検の要否・周期をチェックしてみてください。

よくある質問

Q. 危険物取扱者の資格がない社員だけで定期点検を行うことはできますか?

危険物取扱者又は危険物施設保安員がいない場合、資格を持たない者が単独で定期点検を行うことは認められません。危険物取扱者の立会いを受けた「点検の方法に関する知識及び技能を有する者」であれば実施できるため、社内に資格者がいない場合は、立会える危険物取扱者を確保するか、外部委託を検討する必要があります(規則62条の6)。

Q. 外部の点検業者に委託すれば、自社は何も確認しなくてよいですか?

いいえ。委託先の作業者が危険物取扱者でない場合は、誰が立会ったかを含めて記録する必要があり、その記録が正しく作成・保存されているかを確認する責任は事業者側に残ります。委託後も記録の内容確認は自社の役割です。

Q. 丙種危険物取扱者は定期点検の立会いができますか?

できます。丙種危険物取扱者は危険物の取扱い作業そのものへの立会いはできませんが、定期点検の立会いは可能とされています。取扱い作業の立会いと点検の立会いは別の話であるため、混同しないよう注意が必要です。

Q. 危険物施設保安員は危険物取扱者の資格を持っていないといけませんか?

危険物施設保安員は危険物取扱者とは別の制度で、危険物取扱者の資格がなくても選任できます。危険物保安監督者の指示のもとで施設の保安業務にあたり、規則62条の6により自ら定期点検を実施することも認められています。

Q. 地下タンクの漏れの点検も、資格がなくても立会いがあればできますか?

実施者の要件自体は定期点検と同じ枠組み(規則62条の6)ですが、地下タンクの漏れの点検は専用の測定器具の扱いや構造・腐食に関する専門知識を要するため、実務上は全国危険物安全協会が実施する地下タンク等定期点検技術者講習の修了者などが担当するのが一般的です。詳細は所轄の消防本部にご確認ください。

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