記録・保存

定期点検で不良が見つかったときの対応|補修・報告と記録への残し方

運営・編集:危険物点検台帳編集部

🔧 この記事に関連するツール

記録表テンプレートを作成する →

定期点検で「不良」が見つかった——次に何をすればよいか

「危険物 定期点検 不良」で検索してこの記事に来た方の多くは、点検で異常や基準不適合が見つかったものの、報告先・補修の順序・記録の残し方が分からず手が止まっているはずです。結論と根拠条文、実務での対応手順をこの記事でまとめます。

結論:連絡→補修(必要なら事前手続き)→記録の3段階、記録は「不良あり」のまま残す

結論から言うと、定期点検で不良(異常・技術上の基準への不適合)が見つかった場合の対応は、大きく3段階です。(1) 速やかに所轄の消防本部(予防課・指導課等)へ連絡する、(2) 補修・改修を行う(工事の内容によっては事前に変更許可申請又は軽微変更の届出が必要)、(3) 点検結果(不良があった事実とその後の対応)を点検記録に記載して保存する、という順番です。たとえば秋田市は「定期点検で異常が発見された場合、もしくは技術上の基準に適合しない状態が判明した場合は、速やかに消防本部予防課へ連絡をしてください」「改修工事を行う場合、内容によっては変更許可申請や軽微な変更届出が必要となる場合があります」と案内しています(秋田市消防本部)。見つかった不良を補修して終わりにせず、点検結果・補修内容・補修後の確認結果まで記録に残すことが、点検の義務(消防法14条の3の2)を果たしたことの証明になります。

なぜそうなるのか:維持義務・点検義務・記録義務は別々に課されている

危険物施設の所有者・管理者・占有者には、そもそも位置・構造・設備を技術上の基準(消防法10条4項)に適合するよう維持する義務があります(消防法12条1項)。これに加えて、政令で定める製造所等は定期に点検し、点検記録を作成・保存する義務を負います(消防法14条の3の2)。この2つは別の義務で、「点検をしたから維持義務は免除される」という関係にはありません。点検で基準不適合が見つかった時点で、すでに維持義務違反の状態にある可能性があるため、速やかな報告と補修が求められます。

点検そのものの実施時期は、原則1年に1回以上です(危険物の規制に関する規則62条の4第1項)。点検記録に記載すべき事項は、点検をした製造所等の名称・点検の方法及び結果・点検年月日・点検を行った危険物取扱者等の氏名の4点で(規則62条の7)、ここでいう「点検の結果」には不良が見つかった場合の判定結果もそのまま含みます。不良が見つかったことを記録から消して「異常なし」に書き換えることは、虚偽の点検記録の作成にあたり得るため、絶対に避けてください。

不良への対応が遅れ、基準不適合の状態が続くと、市町村長等は所有者等に対し修理・改造・移転を命じることができ(消防法12条2項)、これに従わない場合や、そもそも点検・記録義務(14条の3の2)に違反した場合は、使用停止命令・許可取消しの対象になり得ます(消防法12条の2第1項第五号)。さらに、点検記録を作成せず、虚偽の点検記録を作成し、又は点検記録を保存しなかった者は、消防法44条第五号により30万円以下の罰金又は拘留に処されます(消防法44条)。不良の発見そのものに罰則はありませんが、「発見後の記録の扱い」を誤ると罰則の対象になり得る点が、この記事で最も伝えたいポイントです。

点検記録の保存年数は、点検の種類によって異なります。不良が見つかった点検がどの種類かによって、残すべき期間を取り違えないようにしてください(規則62条の8)。

点検の種類周期(原則)記録の保存年数根拠
定期点検(通常)1年に1回以上3年間規則62条の8第五号
地下貯蔵タンク・地下埋設配管の漏れの点検1年に1回(完成検査から15年以内等は3年に1回)3年間規則62条の8第二号・第三号
二重殻タンクの強化プラスチック製外殻の漏れの点検3年に1回3年間規則62条の8第二号
移動貯蔵タンク(タンクローリー)の漏れの点検5年に1回10年間規則62条の8第四号
屋外貯蔵タンクの内部点検(対象施設のみ)13年又は15年に1回26年間又は30年間規則62条の5・62条の8第一号

このように、保存年数を「一律3年」と思い込んでいると、移動貯蔵タンクや屋外貯蔵タンクの内部点検で不良が見つかった際の記録を早く廃棄してしまう事故が起きやすくなります。自社の施設がどの区分で、どの保存年数に当たるか判断に迷う場合は、点検記録テンプレートで点検種別ごとの記録項目・保存年数の目安を確認しながら整理すると、記録の残し方で迷う場面が減ります。

自社で確認・対応する手順

実務では、次の順番で対応すると判断がぶれません。

まず、不良の内容と程度を点検者がその場で点検記録に具体的に記載します。「異常あり」だけでなく、どの部位にどのような異常(腐食・漏れ・作動不良など)が見られたかを記載しておくと、後の補修工事の見積もりや、消防本部への報告の際にそのまま使えます。

次に、不良が技術上の基準への不適合に該当しうる場合は、速やかに所轄の消防本部(予防課・指導課等)へ連絡します。連絡の窓口や求められる資料は自治体ごとに異なるため、この段階で担当窓口に確認するのが確実です。

補修・改修の方針が決まったら、工事に着手する前に、その工事が製造所等の位置・構造・設備の変更に当たるかどうかを確認します。当たる場合は変更許可申請、軽微な変更であれば届出で済む場合がありますが、どちらに当たるかの判断は施設ごとに異なるため、工事前に所轄の消防本部で確認してから着手してください。

補修が完了したら、補修後に再点検を行い、基準に適合していることを確認したうえで、その結果も点検記録に追記します。最初の不良の発見・報告・補修・再点検という一連の経過が、1枚の点検記録(又は関連する記録一式)としてつながっている状態が理想です。

最後に、完成した点検記録を、その点検の種類に応じた保存年数(前掲の表)だけ保存します。定期点検なら3年、移動貯蔵タンクの漏れの点検なら10年というように、施設・点検種別ごとに期限が異なるため、次回の点検期限と記録の保存期限をあわせて管理しておくと、担当者が変わっても抜け漏れが起きにくくなります。14日間の無料トライアル(クレジットカード不要)で、施設ごとの次回点検期限と記録の保存期限をクラウドで一括管理できるようにしておくと、不良対応の経過も含めて記録が追いやすくなります。

注意点・誤解しやすいポイント

よくある誤解の1つが、「不良が見つかった点検記録は、体裁が悪いので書き直す」という対応です。点検の結果をそのまま記載するのが規則62条の7の要求であり、不良の事実を消して「異常なし」に書き換えると、消防法44条第五号の虚偽の点検記録の作成に該当するおそれがあります。不良が見つかったこと自体は違法ではありません。見つけて、報告し、補修し、記録することが点検制度の正しい運用です。

次に多いのが、定期点検と保安検査の混同です。指定数量の倍数が大きい一部の屋外タンク貯蔵所や、配管延長が大規模な移送取扱所は、定期点検に代えて市町村長等・総務大臣が行う「保安に関する検査」(消防法14条の3)の対象になりますが、これは事業者自身が行う定期点検とは別の制度です。自社の施設がどちらの対象かは、定期点検チェッカーで施設区分を確認するか、所轄の消防本部にお尋ねください。

また、漏れの点検の周期を誤解しているケースも見られます。地下貯蔵タンク・地下埋設配管の漏れの点検は原則1年に1回ですが、完成検査から15年以内のもの、又は漏えいを覚知し拡散を防止する措置が講じられているものは3年に1回でよいとされています(規則62条の5の2・62条の5の3)。一方、移動貯蔵タンクの漏れの点検は5年に1回です(規則62条の5の4)。周期が違えば次回期限の計算も変わるため、不良が見つかって補修した後の「次回点検はいつか」を、点検種別ごとに個別に数えておく必要があります。

具体的な数字で確認しておきます。地下貯蔵タンクの漏れの点検を1年に1回実施し、記録を3年間保存する施設では、保有すべき記録の件数は3年÷1年=3回分です。移動貯蔵タンクの漏れの点検を5年に1回実施し、記録を10年間保存する場合は、10年÷5年=2回分の記録を保持していれば足ります。周期と保存年数の組み合わせが点検種別ごとに異なるため、「3年保存だから3回分」という計算がそのまま当てはまらない点検種別があることを、補修後の記録整理の段階で改めて確認してください。

まとめ

  • 不良が見つかったら、(1) 所轄の消防本部へ連絡、(2) 補修・改修(事前に変更許可申請又は軽微変更の届出が必要な場合あり)、(3) 結果を点検記録に記載して保存、の順で対応する
  • 不良の事実を点検記録から書き換えて消すと、消防法44条第五号の虚偽の点検記録の作成にあたり得る
  • 点検記録の保存年数は点検種別ごとに異なる(通常の定期点検3年、移動貯蔵タンクの漏れの点検10年、屋外貯蔵タンクの内部点検26年又は30年)
  • 基準不適合の状態が続くと、修理・改造・移転の命令(消防法12条2項)や使用停止命令・許可取消し(消防法12条の2)の対象になり得る
  • 次回点検期限と記録の保存期限をあわせて管理すると、補修の経過を含めた記録の抜け漏れが起きにくくなる

なお、この記事で示した対応は一般的な流れに基づくものであり、報告先の窓口名・必要な手続き・保存年数の細部は施設の許可内容や所轄の消防本部によって異なる場合があります。定期点検の対象や点検事項、不良発見時の具体的な手続きの詳細は、所轄の消防本部にご確認ください。

よくある質問

Q. 定期点検で不良が見つかった場合、その場で補修してよいですか

軽微な補修であれば、その場で対応し、結果を点検記録に記載すれば足りる場合があります。ただし、位置・構造・設備の変更に当たる補修は、工事前に変更許可申請又は軽微な変更の届出が必要になることがあります。工事の内容によって必要な手続きが異なるため、着手前に所轄の消防本部へ確認することをお勧めします。

Q. 不良が見つかった点検記録は、どのように書けばよいですか

危険物の規制に関する規則62条の7により、点検記録には点検をした製造所等の名称、点検の方法及び結果、点検年月日、点検を行った危険物取扱者等の氏名を記載する必要があります。不良が見つかった場合は、その事実(部位・内容・程度)と、その後の報告・補修・再点検の結果まで含めて記載するのが実務上望ましい対応です。結果を書き換えて「異常なし」とすることは避けてください。

Q. 不良を放置した場合、どうなりますか

技術上の基準への不適合が続くと、市町村長等から修理・改造・移転を命じられることがあります(消防法12条2項)。これに従わない場合や、点検・記録そのものを怠った場合は、使用停止命令又は許可取消しの対象になり得ます(消防法12条の2第1項第五号)。また、点検記録を作成せず、虚偽の点検記録を作成し、又は保存しなかった場合は、消防法44条第五号により30万円以下の罰金又は拘留の対象になり得ます。

Q. 点検記録の保存期間は、不良が見つかった場合でも変わりませんか

保存期間は点検の種類で決まり、不良の有無によって変わるものではありません。通常の定期点検の記録は3年間(規則62条の8第五号)、地下貯蔵タンク等の漏れの点検の記録は3年間(同条第二号・第三号)、移動貯蔵タンクの漏れの点検の記録だけは10年間(同条第四号)です。不良が見つかった点検の記録であっても、この保存年数より早く廃棄することはできません。

Q. 補修後の再点検も、通常の定期点検と同じ記録に残すのですか

法令上、再点検専用の記録様式は定められていません。実務では、最初の点検記録に補修後の再点検結果を追記するか、関連する記録として一体的に保管している事業所が多いようです。いずれの方法でも、不良の発見から補修・再点検までの経過が後から追跡できる状態にしておくことが重要です。具体的な様式については、所轄の消防本部にご確認ください。

この記事の内容をツールで確かめる

記録表テンプレートを作成する →

点検そのものより、施設ごとに違う次回期限の管理が長く続きます

危険物点検台帳は、実施した点検の記録を施設ごとに紐づけて保存し、定期点検と漏れの点検の 次回期限をそれぞれ別に追跡します。期限が近い施設のお知らせと、規則62条の8の保存に沿った 記録の出力まで1つの台帳にまとまります。

無料ではじめる(登録のみ)

参考にした一次情報

関連記事