記録・保存

危険物の点検記録は電子データで保存してよい?クラウド管理と3年保存

運営・編集:危険物点検台帳編集部

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危険物の点検記録は紙でなければならないのか

危険物施設の定期点検記録を、紙のファイルではなくパソコンやクラウドで管理してよいのか迷っている保安担当者は少なくありません。立入検査で指摘されないか不安なまま、なんとなく紙で運用を続けているケースもあります。本記事では、根拠条文に基づいて電子データ保存の可否と、あわせて必須となる3年保存のルールを整理します。

結論:電磁的記録での保存は認められている

結論から言うと、危険物施設の点検記録は電磁的記録(電子データ)による保存が認められています危険物の規制に関する規則自体には点検記録を紙の書面に限定する規定はなく、加えて消防法及び石油コンビナート等災害防止法の規定に基づく民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する規則(平成17年総務省令第38号)が、消防法14条の3の2に基づく点検記録の保存を電磁的記録で行うことを認めています。ただし電子化してよいからといって保存義務そのものが軽くなるわけではなく、記載事項・保存年数のルールは紙でも電子でも同じです。

詳細説明:電子保存を認める根拠と、記録の記載事項・保存年数

電子データ保存の根拠をたどると、まず前提として「民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律」(平成16年法律第149号、いわゆるe-文書法)があります。これは各法令が書面での保存を求めている場合でも、主務省令が定める範囲で電磁的記録による保存を認めるものです。この法律を受けて総務省が定めたのが前述の平成17年総務省令第38号で、対象となる書面の一覧(別表)に消防法14条の3の2(定期点検の点検記録)が明記されています。つまり、危険物施設の点検記録は「電子データで保存してよい」と個別に認められた書面の一つということになります。

一方で、記録の中身の義務は変わりません。点検記録に記載すべき事項は危険物の規制に関する規則62条の7で、①点検をした製造所等の名称、②点検の方法及び結果、③点検年月日、④点検を行った危険物取扱者・危険物施設保安員又は立ち会った危険物取扱者の氏名、の4点と定められています。保存年数は点検の種類ごとに規則62条の8で異なり、まとめると次のとおりです。

点検の種類周期記録の保存年数根拠
定期点検(通常)1年に1回以上3年間規則62条の4・62条の8第五号
漏れの点検(地下貯蔵タンク・地下埋設配管)原則1年に1回(完成検査から15年以内、または漏えい検知・拡散防止の措置ありなら3年に1回)3年間規則62条の5の2・62条の5の3・62条の8第二号・第三号
漏れの点検(移動貯蔵タンク)5年に1回10年間規則62条の5の4・62条の8第四号

定期点検そのものの対象施設は危険物の規制に関する政令8条の5で定められており、指定数量の倍数だけでなく、地下タンクや移動タンクを有する施設は倍数にかかわらず対象になる点も見落としやすいところです。電子データで保存する場合でも、この対象施設の範囲や記載事項が変わるわけではありません。自社の施設が定期点検・漏れの点検のどちらの対象で、次回期限がいつかを確認したい方は、記録表テンプレートを確認するを使うと施設区分ごとの点検事項と期限をあわせて把握できます。

保存すべき記録の枚数(回数分)は、記録の保存年数を点検周期で割ると具体的にイメージできます。たとえば給油取扱所の通常の定期点検は1年に1回・記録3年保存のため、保存年数(3年)÷点検周期(1年)=3 ÷ 1 = 3回分の記録を常時保持していれば足ります。これに対して移動貯蔵タンクの漏れの点検は5年に1回・記録10年保存のため、保存年数(10年)÷点検周期(5年)=10 ÷ 5 = 2回分の記録を保持すれば足りる計算になります。電子データで保存する場合も、この「何回分を残すか」という考え方は変わりません。

自社で確認・対応する手順

  1. 現在の保存方法を棚卸しする:紙・Excel・PDFなど、施設ごとに保存方法がばらついていないかを確認します。
  2. 電子化する場合の閲覧性を確保する:立入検査の際にその場で提示できるよう、パソコンやタブレットで即座に開ける状態にしておきます。
  3. 記載事項の抜け漏れを点検する:規則62条の7の4項目(施設名・方法及び結果・年月日・実施者氏名)が電子データ上でも網羅されているかを確認します。
  4. 点検の種類ごとに保存年数を分けて管理する:定期点検・地下タンクの漏れの点検は3年、移動貯蔵タンクの漏れの点検は10年と、種類によって異なる年数を混同しないよう記録を区分します。
  5. 電子化の運用について、事前に所轄消防本部へ相談する:記載事項の様式を独自に変更する場合や、電子保存の具体的な運用方法に不安がある場合は、詳しくは所轄消防本部にご確認ください。

注意点・誤解しやすいポイント

  • 電子化=保存義務の軽減ではない:紙をやめて電子データにしても、記載事項・保存年数の義務は一切変わりません。むしろバックアップや誤削除への備えなど、紙にはなかった管理項目が増えます。
  • 保存年数を一律3年と思い込まない:移動貯蔵タンクの漏れの点検記録だけは10年保存です(規則62条の8第四号)。定期点検・地下タンク系の3年と混同しないよう注意します。
  • 記録の不備は罰則の対象になり得る:点検記録の不作成・虚偽作成・不保存は消防法44条第五号により30万円以下の罰金又は拘留の対象です。点検自体を怠った場合は使用停止命令(消防法12条の2)の対象にもなり得ます。電子データであっても、消失によって「保存していない」状態になれば同じリスクを負います。
  • 様式を変更する際は事前確認が安全:総務省消防庁が公開する危険物施設の保安検査及び定期点検の制度概要などの資料を参考にしつつ、自社の記載事項を一部変更したものを使う場合は、所轄消防本部への事前相談が推奨されています。

期限管理と記録の保存を施設ごとに手作業で追うのは負担が大きくなりがちです。まずは自社の施設に必要な記載事項と保存年数を、記録表テンプレートで実際に確認・作成してみることをおすすめします。クラウドで期限アラートと記録をまとめて管理したい場合は、14日間の無料トライアル(クレジットカード不要)で試すこともできます。

まとめ

  • 危険物施設の点検記録は、平成17年総務省令第38号により電磁的記録(電子データ)での保存が認められている
  • 電子化しても記載事項(規則62条の7)・保存年数(規則62条の8)の義務は変わらない
  • 保存年数は定期点検・地下タンクの漏れの点検が3年、移動貯蔵タンクの漏れの点検が10年と異なる
  • 記録の不作成・虚偽作成・不保存は消防法44条第五号の罰則対象になり得る
  • 様式変更や運用に迷ったら、所轄消防本部への事前確認が安全

よくある質問

Q. 点検記録をExcelやPDFで保存するだけでよいですか?

規則62条の7が定める4つの記載事項(施設名・点検の方法及び結果・点検年月日・実施者氏名)が満たされていれば、Excelファイルやスキャンした PDF での保存も電磁的記録として認められます。ただし立入検査時にすぐ提示できる状態にしておくことが前提です。

Q. 紙の記録と電子データ、両方保存する必要がありますか?

法令上、両方の保存を義務付ける規定はありません。電磁的記録による保存が認められているため、電子データのみで運用しても問題ありませんが、様式変更を伴う場合などは事前に所轄消防本部にご確認ください。

Q. クラウドサービスに記録を保存した場合、サービス解約後はどうなりますか?

保存義務を負うのは施設の所有者・管理者・占有者自身です。クラウドサービスを利用する場合も、保存年数(3年または10年)の間は自社で記録を確実に保持できる状態を維持する必要があります。

Q. 電子データが誤って消えてしまった場合はどうなりますか?

点検記録を保存しなかった場合は、消防法44条第五号により30万円以下の罰金又は拘留の対象になり得ます。電子データで運用する場合は、バックアップの取得など消失を防ぐ対策をあわせて行うことが重要です。

Q. 保存年数のカウントはいつから始まりますか?

各点検を実施した日(点検年月日)を起点に、規則62条の8が定める年数(定期点検・地下タンクの漏れの点検は3年、移動貯蔵タンクの漏れの点検は10年)を保存します。次回点検で記録を更新した場合も、直近の保存年数分の記録を保持しておく必要があります。

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点検そのものより、施設ごとに違う次回期限の管理が長く続きます

危険物点検台帳は、実施した点検の記録を施設ごとに紐づけて保存し、定期点検と漏れの点検の 次回期限をそれぞれ別に追跡します。期限が近い施設のお知らせと、規則62条の8の保存に沿った 記録の出力まで1つの台帳にまとまります。

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